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法定後見制度における後見人は家庭裁判所の審判によって選任されます。ただし、誰になってほしいか希望をいうことはできます。平成24年1月~12月のデータによると、約5割のケースで本人の親族が選任されています。
ただし、親族を後見人にしてほしいと希望しても、管理する財産が多額であったり内容が複雑である場合や関係者間で紛争が予想されたりする場合には、司法書士などの専門家が後見人に選任されることがあります。後見人になるためには特に資格は必要ありませんが、次のような人は後見人にはなれません。①未成年者②成年後見人等を解任された人③破産者で復権していない人④本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者又は親子⑤行方不明である人
本人の親族でない専門家(司法書士、弁護士、社会福祉士等)が後見人になる場合、その後見人を第三者後見人の中で特に『専門職後見人』と呼びます。専門職後見人の中で最も多く後見人に選ばれているのは『司法書士』です。その理由は、裁判所に提出する書類を作成する専門家として、長年、家庭裁判所の様々な手続きにかかわり、成年後見制度に対応するための団体である公益社団法人成年後見・リーガルサポートを立ち上げ、専門職後見人である会員から財産管理等に関する報告を受けるなど信頼性を確保する仕組みを構築しているためです。
しかし、高齢化が急激に進む中、親族以外の後見人を専門職後見人だけで担うことには限界があります。そこで、親族後見人、専門職後見人につづく第三の後見人として注目されているのが、一般市民による後見人『市民後見人』です。本人と同じ地域に住む市民を後見人として養成し、地域で高齢者・障害者を支援しようというものです。
後見開始の審判とともに選任された成年後見人には家庭裁判所から後見開始の審判書が届きます。この審判所を受け取ってから2週間不服申立てがなければ審判が確定し、成年後見人の業務開始です。金融機関で本人の預金通帳の名義変更を行ったり、財産の調査をして財産目録を作成します。この財産目録は、家庭裁判所に1か月以内に提出する必要があります。
普段の仕事
成年後見人は、本人に必要な支払いを本人に代わって行います。そして支出項目別に支払いの内容がわかるように家計簿や現金出納帳を作成して記録します。収入や預貯金についても、定期的な収入(年金等)と特別な収入(家賃収入、保険金等の給付等)を分けて管理します。
また収支状況を正確に把握するために、自宅や入所先、入院先へ訪問し、本人の状況に変更がないか『見守り』を継続的に行います。本人が自宅で一人暮らしをしている場合は、近隣の方や福祉関係の専門家とも連携して対処方法を検討します。
自宅や不動産などの財産の管理(賃貸借契約や家賃の回収、賃貸物件の維持管理等)では、いろいろなトラブルが発生することもありますので、注意が必要です。
その他の仕事
在宅生活の本人が入院することになった場合は、病院との間で入院の契約をします。その後退院し、自宅での生活が困難となった場合は、施設を探して入所契約をすることもあります。
介護サービスを受ける場合は、要介護認定の手続きやその更新の手続きも成年後見人が行います。施設に入所する場合などには、本人が所有する不動産を売却してお金を用意する必要がある場合もあります。本人に代わって不動産売買契約をしたり、売却代金を受領することも成年後見人の仕事です。
ただし、本人の自宅である土地建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要となるため、成年後見人だけの判断で処分することはできません。